以下は漫画業界で使われる専門用語のリストです。それぞれ用語の説明と使用例を付けています。
1. ネーム
- 説明:漫画の構成やストーリーを簡単な絵と文字で示した下書き。編集者との打ち合わせや、完成イメージを共有するために使われる。
- 使用例:「ネームが通ったらペン入れに進めます。」
2. ペン入れ
- 説明:ネームや下書きの線に沿ってインクを使い、正式な線画を描く工程。マンガの完成度を決める重要な作業。
- 使用例:「ペン入れが終われば、次はトーン作業です。」
3. トーン
- 説明:絵に陰影や質感を加えるためのシール状の素材。デジタルではグレースケールや模様で再現される。
- 使用例:「背景にトーンを貼って奥行きを出しました。」
4. コマ割り
- 説明:ページ上のコマの配置やサイズを決めること。ストーリーの流れやテンポを左右する重要な要素。
- 使用例:「この場面は大きくコマ割りして迫力を出します。」
5. アタリ
- 説明:キャラクターや構図を描く前に、大まかな位置やポーズを決めるための簡単な線や円。
- 使用例:「キャラクターの動きを出すためにアタリをしっかり描きます。」
6. 背景
- 説明:キャラクターが活動する場所や環境を表現する要素。建物や自然景観など、作品の雰囲気を作る役割を持つ。
- 使用例:「背景が詳細に描かれていると説得力が増します。」
7. キャラクターデザイン
- 説明:作品内に登場するキャラクターの外見や性格、衣装などを設計する作業。読者の印象を左右する重要な工程。
- 使用例:「主人公のキャラクターデザインは読者受けを考えて作り直しました。」
8. モブキャラ
- 説明:主役ではない脇役や通行人など、物語の背景を彩るキャラクターを指す。
- 使用例:「モブキャラの配置で街の賑わいを表現しました。」
9. パース
- 説明:遠近感を正確に描く技法。背景や構図に立体感を出すために使われる。
- 使用例:「このシーンのパースを計算して奥行きを出しました。」
10. 見開き
- 説明:2ページをまたいで描かれる大きな構図やシーン。迫力を出すために使われる。
- 使用例:「クライマックスの見開きシーンで読者を驚かせました。」
11. オノマトペ
- 説明:擬音語や擬態語。効果音や感情を表現するために使われ、マンガ独特の臨場感を生む。
- 使用例:「ドカン!というオノマトペで爆発感を出しました。」
12. スクリプト
- 説明:漫画のセリフやモノローグを書き出した脚本。ストーリー作りの基礎となる。
- 使用例:「スクリプトが完成したらネームに移ります。」
13. カラー原稿
- 説明:通常のモノクロ原稿ではなく、カラーで仕上げた漫画の原稿。表紙や特別ページに使われることが多い。
- 使用例:「雑誌の表紙用にカラー原稿を描きました。」
14. ページネーション
- 説明:漫画のページ構成や順番を決める作業。ストーリーのテンポを考慮して配置する。
- 使用例:「ページネーションを再考してクライマックスを強調しました。」
15. 同人誌
- 説明:商業出版ではなく個人やグループで制作・発行される漫画やイラスト本。自主出版物。
- 使用例:「コミケで新しい同人誌を販売します。」
16. 原稿
- 説明:漫画の完成形。ネーム、下書き、ペン入れを経て仕上げたものが原稿と呼ばれる。
- 使用例:「原稿の締め切りが明日なので徹夜します。」
17. セリフ回し
- 説明:キャラクターのセリフを自然かつ効果的に配置・調整する技術。
- 使用例:「この場面のセリフ回しがキャラの性格に合っていて良いです。」
18. コミックス
- 説明:雑誌掲載された漫画を単行本形式でまとめたもの。巻数ごとに分けて発売される。
- 使用例:「新作のコミックス第1巻が発売されました。」
19. 漫符
- 説明:感情や動きを強調するための記号。例:汗マーク、怒りのマーク、ひらめきの電球など。
- 使用例:「漫符を使ってキャラの気持ちを分かりやすく表現しました。」
20. アンソロジー
- 説明:複数の作家による短編漫画を1冊にまとめたもの。テーマやジャンルが統一されていることが多い。
- 使用例:「ファンタジー系のアンソロジーに参加しました。」
21. クリフハンガー
- 説明:物語の結末や途中で、続きが気になるような状況や展開を作り、読者を引きつける技法。
- 使用例:「最後にクリフハンガーを入れて次回への期待感を高めました。」
22. 一コマ漫画
- 説明:1つのコマだけで完結する漫画。風刺やユーモアが主題になることが多い。
- 使用例:「新聞の一コマ漫画で時事問題を描きました。」
23. フキダシ
- 説明:キャラクターのセリフやモノローグを囲む部分。形状や配置で感情表現を補強することができる。
- 使用例:「怒りのシーンなのでフキダシの枠をギザギザにしました。」
24. カットイン
- 説明:ストーリーの流れを補完するために挿入される短いカットや顔のアップ。感情やアクションの強調に使われる。
- 使用例:「重要なセリフ前にカットインで主人公の表情を描きました。」
25. アシスタント
- 説明:漫画家を補佐するスタッフ。背景やトーン貼りなどの作業を担当する。
- 使用例:「アシスタントに背景を頼んで効率よく進めています。」
26. ゴマ
- 説明:小さいコマやモブキャラの中で使われる細かい描写。場面転換や補足説明に便利。
- 使用例:「次のページに行く前にゴマで静かなシーンを挟みました。」
27. ベタ塗り
- 説明:インクで真っ黒に塗りつぶす作業。影や暗闇の表現に使われる。
- 使用例:「迫力を出すためにベタ塗りを多めにしました。」
28. カメラワーク
- 説明:漫画の視点やアングルの工夫。アップや俯瞰などで読者の視点をコントロールする技法。
- 使用例:「このシーンは俯瞰のカメラワークで広がりを見せました。」
29. アオリ文
- 説明:雑誌や単行本で、作品を引き立てるための宣伝的なキャッチコピー。
- 使用例:「『衝撃の新展開!』というアオリ文をつけました。」
30. クロッキー
- 説明:素早くラフに描いたスケッチ。構図やポーズの研究に使われる。
- 使用例:「キャラクターの動きを研究するためにクロッキーを描きました。」
31. ハーフトーン
- 説明:濃淡の中間的な色を表現する技術。グラデーションや滑らかな陰影を作るために使われる。
- 使用例:「背景にハーフトーンで柔らかい影をつけました。」
32. インク
- 説明:ペン入れやベタ塗りに使われる画材。耐久性や発色の良さが求められる。
- 使用例:「線画の強弱をつけるためにインクの種類を変えました。」
33. 消しゴムかけ
- 説明:下書きの鉛筆線を消してペン入れ後の清書部分を際立たせる作業。
- 使用例:「ペン入れが終わったら消しゴムかけをして仕上げます。」
34. 印刷所
- 説明:漫画原稿を本に仕上げるための業者。同人誌制作やコミックス印刷に使われる。
- 使用例:「地元の印刷所に新刊のデータを入稿しました。」
35. スクリーントーン
- 説明:トーンの中で特にパターンが印刷されたものを指す。模様や質感を表現する。
- 使用例:「スクリーントーンで砂浜の質感を再現しました。」
36. バンクシーン
- 説明:特定の場面で使い回されるコマやシーン。手間を省きつつ、効果的に使われることがある。
- 使用例:「登場シーンにバンクシーンを使って作業を短縮しました。」
37. スパッタリング
- 説明:ブラシでインクを飛ばし、ざらざらした質感や特殊効果を出す技法。
- 使用例:「背景の星空をスパッタリングで描きました。」
38. セピア
- 説明:暖色系の茶色で彩色されたモノクロ作品。回想シーンや古い雰囲気を出すのに使われる。
- 使用例:「過去のシーンをセピアで表現しました。」
39. ページラフ
- 説明:ページ単位で描いた粗い下書き。ネームを補強するための詳細な設計。
- 使用例:「ページラフをもとに本描きに進みます。」
40. プロット
- 説明:ストーリーの大まかな流れや構成をまとめたもの。ネーム作成前に使う。
- 使用例:「プロットを練り直して話の展開をスムーズにしました。」
41. アングル
- 説明:キャラクターやシーンを描く際の視点の位置。視覚的な効果を強調する。
- 使用例:「このシーンはローアングルで主人公を力強く見せます。」
42. モノローグ
- 説明:キャラクターの内面的な独白を表すテキスト。感情や心理を深く伝える。
- 使用例:「主人公のモノローグで緊張感を高めました。」
43. サイレント漫画
- 説明:セリフや文字を一切使わず、絵だけで物語を伝える漫画。
- 使用例:「初挑戦でサイレント漫画を描きました。」
44. ボツネーム
- 説明:採用されなかったネーム。アイデアの一つとして後で活用される場合もある。
- 使用例:「このボツネームを改良して別作品に使います。」
45. 連載会議
- 説明:出版社や編集部が新しい連載を決定するための会議。作品の売上予測やコンセプトが検討される。
- 使用例:「次の連載会議に向けて企画を準備しています。」
46. 初版
- 説明:最初に印刷された版。売れ行き次第で重版される。
- 使用例:「初版の売れ行きが良く、重版が決まりました。」
47. デジタル原稿
- 説明:手描きではなく、デジタルツールで作成された漫画の原稿。
- 使用例:「全てデジタル原稿で仕上げました。」
48. クロージングカット
- 説明:物語の終わりを示すコマ。感動的な余韻を残すために工夫される。
- 使用例:「クロージングカットで主人公の後ろ姿を描きました。」
49. 連載
- 説明:雑誌やウェブ上で定期的に公開される漫画。週刊、月刊など頻度はさまざま。
- 使用例:「週刊連載なのでスケジュールがタイトです。」
50. アンカーシーン
- 説明:物語の中心となる重要な場面や象徴的なシーンを指す。
- 使用例:「このアンカーシーンを見せ場として特に力を入れました。」
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