最近大手企業がサイバー攻撃の被害に被害に遭い、マルウェアやランサムウェアという言葉を聞きますが、マルウェアとランサムウェアって何が違うのでしょうか。
ランサムウェアとマルウェアの違い
マルウェア(Malware)
- 定義: コンピュータやネットワークに害を与える悪意のあるソフトウェアの総称。
- 目的:
- 個人情報や機密データの盗取。
- デバイスやネットワークの破壊や妨害。
- スパムメールや攻撃用の中継点として利用。
- 種類:
- ウイルス
- トロイの木馬
- スパイウェア
- ランサムウェア
ランサムウェア(Ransomware)
- 定義: マルウェアの一種で、ファイルやシステムを暗号化し、復号のために身代金(ランサム)を要求するソフトウェア。
- 目的:
- 金銭の要求が主目的。
- 被害者に直接的な損害を与える。
違い:
マルウェアは広義の概念で、あらゆる悪意のあるソフトウェアを含む。一方、ランサムウェアは特定の目的(身代金の要求)を持ったマルウェアの一種。
ランサムウェアの事例
1. WannaCry
- 概要: 2017年に発生した世界規模のランサムウェア攻撃。Windowsの脆弱性を利用し、ネットワークを通じて広範囲に感染。
- 影響:
- 世界中で約230,000台以上のコンピュータが感染。
- 医療機関や物流会社、銀行など多くの機関が業務停止に追い込まれた。
- 要求:
- ビットコインで300〜600ドル相当の身代金を要求。
2. Ryuk
- 概要: 主に大企業や公的機関を標的とするランサムウェア。攻撃者はネットワークに侵入し、重要なファイルを暗号化して金銭を要求。
- 影響:
- 病院や政府機関がターゲットとなり、業務停止や大規模な損害が発生。
- 要求:
- 身代金は数万から数百万ドル規模。
3. LockBit
- 概要: 近年、攻撃対象を選ばず広範囲に被害を与えるランサムウェア。暗号化だけでなく、盗み取ったデータを公開すると脅迫。
- 影響:
- 中小企業から大手まで多くの組織が被害。
- データ漏洩リスクも加わり、さらなる損害が拡大。
ランサムウェアの対策方法
1. 事前対策
- セキュリティソフトの導入:
- 常に最新の状態に保つ。
- リアルタイム保護機能を活用。
- バックアップの徹底:
- 重要なファイルは外部ストレージやクラウドに定期的にバックアップ。
- バックアップデータはネットワークから切り離して保管。
- ソフトウェアの更新:
- OSやアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃を防ぐため、常に最新バージョンを使用。
- メールやダウンロードの注意:
- 不審なリンクや添付ファイルを開かない。
- 正規の送信元を確認。
2. 感染後の対応
- 即座にネットワークから切断:
- 感染が拡大するのを防ぐため、物理的にネットワーク接続を切る。
- 専門家への相談:
- 警察やサイバーセキュリティの専門家に連絡し、適切な対応を取る。
- 身代金の支払いを避ける:
- 支払ってもデータが復旧される保証はなく、新たな攻撃を助長するリスクがある。
3. 社内での教育とポリシー設定
- 従業員の教育:
- ランサムウェアの手口や予防策について定期的に研修。
- アクセス制限の導入:
- システムやデータにアクセスできる範囲を最小限に。
- メールフィルタリング:
- スパムメールや不審なリンクを遮断するフィルタリング設定。
まとめ
ランサムウェアの攻撃は金銭的、業務的な被害が大きいですが、定期的なバックアップやセキュリティソフトの活用、従業員教育によるリスク低減が可能です。また、早期発見と迅速な対応が被害を最小限に抑えるカギとなります。
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